コラム第30回
【専門医が解説】口内バクテリアセラピーで注目!ロイテリ菌とは?
ロイテリ菌とは?
乳酸菌と聞くと皆さん聞きなじみがあるかと思います。
ヨーグルトなど、腸内環境を整える乳酸菌商品は多く見受けられますよね。
ロイテリ菌は歯科業界で注目されている口腔内環境を整える乳酸菌です。
今回は生きた善玉乳酸菌、ロイテリ菌についてご説明します。
ロイテリ菌の働き
↑日和見菌は善玉菌が活性化すると善玉菌となり、悪玉菌が活性化すると悪玉菌となります。
人間には1000種類以上の常在菌が存在していますが、腸内についで多いのが口腔内です。
ロイテリ菌は口腔内の悪玉菌の働きを抑制することができる善玉菌です。
この生きた善玉菌(プロバイオティクスと言います)を接種することで歯周病菌や、むし歯菌などを抑制できることが、研究により明らかになっております。
もう少し詳しく説明すると、口に入ったロイテリ菌は唾液などによって「ロイテリン」という天然の抗菌物質を生産します。これが悪玉菌を抑制します。
このような働きからロイテリ菌はスーパー乳酸菌とも呼ばれています。
ロイテリ菌はもともとは人間の体内に存在していた常在菌でしたが、現代社会における生活習慣の変化などから、保有割合が減少しています。
都会で暮らす人ほど常在菌の種類が少ないという研究データもあり、特に日本人は7人に1人しかロイテリ菌を保有していないと言われています。
また、ロイテリ菌は体内で産出することができないため、食品やサプリメントからロイテリ菌を摂取する必要があるのです。
オススメする理由
十分な研究データに基づく科学的根拠
30年近くの研究データがあり、2万人を超える被験者からの確かな臨床実績があります。現在110の国と地域で活用されています。
ヒト由来なので副作用がない
もともと体内に存在する常在菌なので、副作用の心配がありません。また、口から腸まで全ての消化器官で定着することができるという特長もあります。
独自の抗菌物質
唾液などにより「ロイテリン」という独自の抗菌物質を産出し、悪玉菌の働きを抑制します。
体内の細菌には、悪玉菌の数が減ると善玉菌の数も減ってしまうという性質がありますが、ロイテリンは善玉菌と悪玉菌のバランスを保ちながら口内環境を整えることができます。
また、ロイテリ菌は胃酸や胆汁酸により死滅することがなく長く生き続けられます。
正しい接種方法
ロイテリ菌を口腔内に定着させるには、定期的な接種が効果的です。
具体的には、夜歯磨きをしたあとにサプリメントを接種することをお勧めします。
就寝中は悪玉菌が繁殖しやすいため、ロイテリ菌がこれを抑制してくれます。
3カ月から半年ほど続ければロイテリ菌が定着し、朝起きてからの口臭の変化や、唾液のべたつきが減っていることを実感できると思います。
まとめ
ロイテリ菌などを使ったバクテリアセラピーは、歯科だけでなく医療業界全体で注目されています。
歯周疾患がもたらす悪性物質は、血管や消化管を通じて全身にまわり、様々な悪影響をもたらすことが研究結果により明らかとなっているからです。
ぜひご家族みんなで、寝る前のロイテリ菌習慣を始めてみてはいかかでしょうか。
余談ですが、ロイテリ菌は哺乳類の体内に存在し、ペットの健康維持にも注目されています。