親知らずの抜歯について
親知らずとは
親知らずとは最も奥に生えてくる奥歯のことで、専門的には「第三大臼歯」や「智歯」と呼ばれる歯のことです。
一般的には15~20歳前後に生えてくる歯ですが、人によっては顎の骨の中に埋まって、生涯生えてこない人もいらっしゃいます。
これは人類が固いものを食べる機会が減り、顎の大きさが小さくなったために、歯の生えるスペースがなくなったからと言われています。現代ではこの傾向は更に強まり、約3割の方が、一本以上親知らずが欠如しています。
親知らずの問題点
親知らずの生え方は人それぞれです。まったく問題なく生えている場合もあれば、そうでない場合もあります。
親知らずが引き起こす問題
隣の歯を押し出すように生え、歯並びが悪くなる | 最奥にあるため歯磨きがしづらい |
上下の一方しか生えない場合、粘膜を傷つけてしまう | 埋もれた親知らずの周囲に嚢胞ができ、細菌感染のリスクが高まる |
虫歯や歯周病になりやすく、他の歯にうつってしまう | 治療しても再発しやすい |
治療の必要性とタイミング
親知らずは抜歯するものという認識をお持ちの方も多くいらっしゃると思いますが、必ずしも抜歯する必要はありません。今すぐに抜歯の必要性があるか、充分に検討する必要があります。
抜く必要がない親知らず
- 正常な位置にあり、顎や他の歯への悪影響がない
- 歯磨きが問題なくできる
- 顎の骨に埋まっており、嚢胞もなく問題を起こさない状態
- 対合歯とのかみ合わせが合っている
- 将来、ブリッジの支台歯や移植歯としての活用ができる
抜く必要がある親知らず
- 虫歯や歯周病が進行している
- 歯並びへ悪影響を与えている
- 斜めや横向きに生えたため、歯磨きが困難
- 他の歯へ虫歯や歯周病がうつる可能性が高い
- 今後、抜歯が困難になる可能性が高い
- 歯ぐきや舌を傷つけている
親知らずを残すメリット
- 他の歯を欠損した場合、親知らずを移植できる可能性があります。
- 隣の歯を失った場合、親知らずを土台として欠損部を補完するブリッジ治療を行える可能性があります。
レントゲン検査と診断
当院では、親知らずを抜歯する際に、歯科用CTを使用して撮影しています。
このCTによる撮影により、親知らずが埋まっている部分の立体的な三次元画像を見ることができ、親知らずの歯根の形状や周囲にある組織の位置を正確に把握することが可能となります。
これにより抜歯の必要性や、難易度を診断し治療方針を定めます。
特に親知らずの周辺には下歯槽神経や下歯槽動静脈などの大切な組織があります。傷つけることなく治療を行うために、レントゲン検査を活用しております。
手術について(FAQ)
手術にかかる時間はどれくらい?
親知らずの抜歯はケースによって手術時間が大きく異なりますが、簡単な場合では10分程で、多くの場合は30分以内で終了しております。
また、口腔内の清掃状態が悪いと患部で細菌感染がおこり、直りが遅くなったり、炎症が起こる原因となります。
そのため、術前に口腔内の歯石除去を行い、口腔環境を整える場合もございます。
術中に痛みはありますか?
術中は適切な麻酔を行いますので、ほとんど痛みはございません。麻酔注射の痛みも最小限に留める工夫をしております。 ➡当院の無痛治療
では術後の痛みや腫れは?
術中の腫れには抗生物質を投与し、炎症を抑えます。また、術後は痛み止めを処方いたしますので、痛みが引くまでの数日間は服用していただくようお願いします。
患部はかさぶたができている状態になっておりますので、血行が良くなると出血してしまいます。アルコールや運動、長時間の入浴は避けてください。もし出血された場合は、ガーゼやティッシュを軽く患部に当てて、30分程様子を見てください。
一般的に年齢が若いほど回復が早く、高齢者の方ほど腫れが長く続きます。もし、腫れがなかなかひかずご心配の方はクリニックへご連絡ください。
また、当院では術中の細菌感染対策として、殺菌効果の高い強酸性水で傷口などの洗浄を行っています。院内感染対策に力を入れておりますので、ご安心ください。
治療費用について
親知らずの抜歯は、基本的に保険診療で受けられます。なので他の自費診療の手術と比べると負担が少なく受けることができます。
具体的な金額ですが、これは治療の内容によって大きく変わります。
- 歯の生えている方向
- どのくらい顎の骨に埋まっているか
- 骨を削る必要の有無
などの要件によって、2000円~7000円ほどの費用がかかります。