コラム第29回
【専門医が解説】歯ぎしりや食いしばりについて解説します!
歯ぎしりや食いしばりについて
「人の歯ぎしりの音が気になる」なんて聞いたことはありませんか。
患者さんの中には、寝ている間や考え事をしている間に無意識に歯ぎしりしたり、食いしばったりする癖を持った方がいらっしゃいます。
歯を左右に噛みしめ、キリキリと歯ぎしりをしてしまう「グラインディング」
上下の歯を強く噛みしめる「クレンチング」
このようなタイプが多いです。
前々回のコラムで、補綴物が取れてしまう原因として歯ぎしりを上げましたが、歯ぎしりにはその他にも口腔内へさまざまな影響を与えます。
今回はそんな歯ぎしりや食いしばりの悪影響についてお話させていただきます。
口腔内に与える悪影響
歯の磨り減り | 食いしばりや歯ぎしりは、歯同士で擦れ合い、歯の表面を磨り減らします。 |
歯のひずみと割れ | 歯にひずみや割れなどの損傷を引き起こします。 |
歯の周囲の組織への負担と口臭 | 歯ぐきや周囲の組織に負担をかけ、歯周病や歯茎の炎症などの問題を引き起こします。歯や歯周組織の損傷が進むことで口臭が発生します。 |
顎関節症 | 顎関節に過度な圧力をかけ、顎関節症を引き起こす可能性があります。 |
嚙み合わせの異常 | 歯の咬合異常が生じる可能性があります。 |
原因
歯ぎしりは、スポーツ選手などが力を発揮するために意図的に行う場合を除いて、そのほとんどが無意識に行われます。
ご家族やご友人から指摘されて気づかれる方や、朝起きた後に顎が疲れていて重く感じることで気づかれる方が多いです。
原因としては、日々のストレス、筋肉の緊張状態が抜けていないことや、噛み合わせの悪さから引き起こされると言われています。
改善策
まずはご自身の歯ぎしりがあるのかどうかをご家族に聞いたり、クリニックの検診で診てもらいましょう。
そのうえでストレスや不安の解消に努めることが重要です。寝る前はお風呂に入るなどしてリラックスした状態をつくりましょう。
それでも無意識で行ってしまう場合は、歯ぎしりで加わる力を分散させるマウスピース(ナイトガード)の作成がおすすめです。
歯科クリニックにてオーダーメイドで、専用のマウスピースを作成してもらいましょう。保険の適用も可能ですので、お気軽にご相談ください。
まとめ
通常リラックスした状態では、上下の歯は1~2mm程度の隙間ができているのが正常です。
もし何かに集中しているときに、食いしばっていることに気づいた場合は、肩の力を抜いてリラックスしましょう。
歯ぎしりは、少しずつ口腔内の環境を歪めていくため、早めの対処が大切です。
ご心配な方はぜひ歯科クリニックでの検診をおすすめします。