コラム第21回
ストレスが歯周病を悪くする?専門医から提言②
今回のコラムでは、前回のストレス因子の解説をもとに、危険なストレスへの気づき方、対処法に関して専門家の視点でお話していきます。
危険なストレスに気付きましょう
ヒトの生活は規則的ではないですし、人生の契機(結婚、出産、子育て、転勤など)に伴って一時的に生活習慣が乱れることは大きな問題ではありません。ヒトの体の中には「恒常性」と呼ばれる正常な状態に戻ろうとする仕組みがあるためです。
その一方で、ヒトの体に危険なストレスは下記のような特徴があります。
「自分でスケジュールを調整できない」
「継続的な」
「逃げることのできない」
「改善の提案ができない」
このようなストレスに年単位でさらされると、自律神経に不可逆的な変化が生じます。その結果、「自律神経失調症」や「うつ病」、「身体疾患(高血圧、老化、歯周病)」など、長期に治療が必要な状態に陥るリスクを孕んでしまうのです。
危険なストレスへの対処法
このような、危険なストレスにはどのように対処したらよいのでしょうか。
まず、このようなストレスを受ける可能性のある状況を避ける、これが最善です。
しかし、現実的にはこういったストレス環境に気が付いたらどっぷりはまり込んでいたという状況が多いと思います。
そのため、意識していてほしいことは
「何もしないこと」
「可能な限り責任を放棄して逃避すること」
です。
皆さんは、職場や子育て、親族のことになると、責任を放棄できないと考えがちです。しかし、そのような思考で孤軍奮闘している状況というものは、思っている以上に周囲に伝わらず、気づかれません。また、自分にしかできない責務というものはほとんどなく、実際にはほかの方が代役できるため、逃避しても多くの場合はその社会は誰かによって維持されます。
まずは、子どもや大事な人の生命が守られる最低限で、自分の役目・責務を放棄してしまいましょう。そして、その社会(コミュニティー)に大きな混乱を起こすのです。
社会(コミュニティー)というものは、それ自体が大きく環境を乱されることを恐れ、避けようとします。いろいろな人が問題に気づき、向き合うことになるので、あなたの苦しさを解消する方向に状況が動くか、または、そのコミュニティーから脱出できる機会を得られるかもしれません。
人間は本来、「生まれた時から死ぬまで自由にやりたいことを決められる」存在であって、自分一人が、大きな責任を背負う必要はないのです。それでも、一歩が踏み出せないのであれば、産業医の診察や、子育て相談センター、心療内科などを頼って、相談してみましょう。
まとめ
少し「歯周病」から話がそれましたが、ストレスにより歯周病が悪化する原因として、
〇自律神経に作用した免疫機能の低下
〇歯ぎしりによる歯や歯周組織の脆弱化
〇忙しさや意欲減退からのハミガキ習慣・生活習慣の悪化
このようなものが挙げられます。
ストレス自体を軽減するのにはバランスの良い食事、充分な睡眠、軽い運動が良いとされています。あとは自分のリラックスできる時間を持つ。何よりブラッシングで口腔内をさっぱりするだけでも気分も変わってくると思います。
自分の生活は自分でコントロール出来て、自分の歯の健康や美しさを気にかけることのできる、そのような人生を歩んでいきたいものですね。