コラム第1回
虫歯とは?なんでできるの?歯科専門医が解説!
はじめに
今回から、医療法人 健友会では皆様にわかりやすい内容で、皆様のお役に立つコラムを掲載していきますのでよろしくお願いいたします。
第1回目は「虫歯(う蝕、カリエス)」についてお話します。
みなさま、虫歯という言葉は、よく耳にすると思いますが、実際どういうものかご存知でしょうか?どんなふうにできてきて、どのように体に害を与えるのでしょうか。
虫歯ってなに?
虫歯は正式名称では、う蝕(カリエス)と言います。
虫歯はとても身近な病気です。虫歯以上に皆さんの生活に密着し、生まれた時からご老人になるまで付き合っていかないといけない病気も無いのではないでしょうか。生涯で日本人の9割以上が虫歯を経験しているといわれています。(体感的にはもっとですよね、虫歯に一度もなったことがない人はとても珍しいです)
この虫歯とは、プラーク(歯垢)の中にいる虫歯菌、主にミュータンス菌などが出す酸によって、歯が溶かされる病気です。虫歯菌は糖分などをエサにしてどんどん増えるため、甘い物をよく食べれば虫歯になりやすくなります。ただ、虫歯の原因はそれだけではなく、食事の回数や歯並び、歯磨きの状況、唾液の量などさまざまな原因によって生じます。
虫歯ができやすいところってどこだろう
虫歯はその原因となる歯のよごれ(歯垢、虫歯菌にとってのエサ)が多い場所にできやすいとされています。つまり、歯ブラシが届きづらい場所ということですね。 下のような部分は特に汚れが残りやすいので注意が必要です。
①歯と歯の間
歯と歯の細い隙間に歯ブラシの毛先が入りにくく、歯垢を取りにくい場所です。汚れが落としきれず磨き残しが残ったままになっている場所が多いのでデンタルフロスや歯間ブラシなどの補助用具が必要になってきます。
②奥歯の噛む面(溝の部分)
形状が複雑で歯ブラシが届きにくく、隅々まで磨きにくい場所です。
③歯と歯ぐきの境目(歯頸部)
歯垢が残り虫歯が進行しやすい場所です。また、歯ぐきが下がり歯の根元が露出した部分は、歯質が柔らかいため虫歯の進行も早くなります。
その為、この上記3つの場所は特に注意して磨きましょう!
虫歯にも段階があるの?その治療法は?
みなさまも、小学校の歯科健診でやってきた歯医者さんにお口の中を見られた経験があるかと思います。その時にお口の中を見た先生が、「3番はC0、6番はC1…」などと言っているのを聞いたことはありませんか?
実は虫歯には病気の重症度(進行度)を示す基準があり、それをC0~C4の5段階に分け、治療方針を判断する目安としています。
① C0:脱灰【ごく初期の虫歯】
⇒歯の溶け始めているところが、歯の一番表面にあるエナメル質に白い斑点のように見える状態を指します。痛みなどの自覚症状はありません。正しい歯磨きや、歯を強くするフッ素を使うことにより、進行を止めたり治したりすることができます。学校健診で見つかる虫歯は、多くがこの状態からC1までです。
② C1:【エナメル質の虫歯】
⇒歯の表面を覆っているもっとも丈夫なエナメル質が溶けて穴が開いた状態です。まだ痛みなどの自覚症状はありません。放置すると内部の柔らかい象牙質に一気に虫歯が広がるので、この段階までになるべく早く虫歯部分を削ってプラスチック(レジン)を詰めて治療します。この段階で治療を開始すれば、自分の歯の寿命を損なうことなく長持ちさせることができます。
③ C2:【象牙質の虫歯】
⇒象牙質まで虫歯が進行した状態です。冷たいものや甘いものを食べると歯がしみて痛みます。虫歯部分を削って、大きさ・範囲・噛み合わせの状態によって、詰め物(インレー)や被せもの(クラウン)で治療していきます。この状態まで進行すると、歯としての寿命はやや損なわれてしまいます。
④ C3:【神経まで達した虫歯】
⇒神経にまで達した状態。ズキズキと痛みを感じたり、冷たい、温かいものがしみる、噛むと痛いなどの症状がでます。ほとんどの場合、神経を取り除く治療を行い、神経が入っていた管(根管)の内部を消毒して薬剤を詰める根管治療を行って、被せもの(クラウン)を被せます。
⑤ C4:【歯根まで達した虫歯】
⇒虫歯の末期状態です。根の部分だけが残った状態です。神経の治療をして、極力虫歯を除去した状態で歯を残す努力を行います。しかし、虫歯と歯の神経が不可分となって、口の中全体に悪影響を及ぼす場合には、残せないと判断して歯を抜きます。その後、ブリッジや入れ歯、インプラント治療をしていきます。放置すると歯の根っこの血管からばい菌が侵入して、心臓の病気や脳梗塞などの病気を引き起こすこともあります。
虫歯の早期発見・治療をオススメする理由
虫歯治療は早期発見・早期治療がなにより重要だと考えています。
〇痛くなる前に対処できる(治療も痛くない!)
〇初期の段階であれば簡単な処置で済む(治療の時間もみじかい!)
〇虫歯による歯の寿命の減少を最小限にできる
(健康で、丈夫・キレイな歯を残せる!)
〇治療のために何度も通院せずに済む
(初期の治療が終われば、たまのメンテナンスのみ)
〇治療費が安く済む(ほとんどが保険診療で可能!)
〇治療期間が短くなる
(忙しい働く世帯ほど、早期発見でラクできる!)
歯が痛くなってから治療するのではなく、痛くなる前に虫歯や歯周病などの歯の病気を予防することが歯を長持ちさせるポイントです。
お口を健康に保つためには、お家でのセルフケアはもちろん、歯科医院で行うプロフェッショナルケアのこの2つをきちんと行うようにしましょう。お口の健康を守るため、歯科医院での定期的な検診をおすすめします!
まとめ
1. 虫歯とは :虫歯菌の出す酸で歯が溶かされ、穴があいた状態のことを指します
2. C0C1の場合
初期の虫歯。削らずに治療できることもあり、歯の寿命をほとんど損なうことなく治療が可能です。しかし、痛みがないためこの時点において自分で気付くのは難しい。学校健診や歯科クリーニング検診を活用しましょう。
3. C2の場合
象牙質が虫歯菌に侵された状態。痛みを感じるため、この時点で確実に虫歯を自覚するようになります。歯を残すためには、ここまでに治療を開始するようにしましょう。
4. C3の場合
歯髄が虫歯菌に侵された状態。痛みは激痛となり、根菅治療が必要になってきます。
5. C4の場合
末期の虫歯です。歯が残せない可能性が高いが、放置すると脳梗塞などを招く恐れがあります。必ず、治療を完遂するようにしましょう。
これら5つのことから、虫歯とはどんな状態を意味するのかが分かります。 虫歯は痛いし治療も怖い…誰もが虫歯に対してそんなイメージを抱いているでしょう。 しかし、だからといって放置すれば事態はより深刻になってしまいます。
健友会グループでは、できるだけ初期の段階で発見し、最小限の治療で患者さんの負担を抑えたいと考えています。治療だけでなく、その後の予防にも力を入れていますので虫歯の疑いがある方、虫歯になりたくない方は一度当院までお越しください。