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コラム第18回
歯周病と認知症の関係とは?専門医が最新の知見を解説①

[2021.08.02]

はじめに

歯周病 ⇔ アルツハイマー型認知症

この二つの病気は、口と脳ということで一見して何の関係もないように見えます。しかし、近年の報告ではこれらの病気はそれぞれ密接に関係していることがわかってきています。特にご高齢のご家族を持つ方々は気になると思いますので、ご説明させていただきます。

 

歯周病とアルツハイマー型認知症

歯周病とは

口の中には、歯周病の原因となる歯周病原細菌を含めると500種類以上の多彩な細菌がいるといわれています。この中で、歯周病菌の感染によって引き起こされる歯の周りの組織(歯肉・歯の表面・歯槽骨)に起こる病気が歯周病です。歯面または歯根表面に停滞したプラーク・歯石が原因となって起こります。

 

原因菌
〇Actinobacillus actinomycetemcomitans (A.a.菌)
〇Porphyromonas gingivalis (P.g.菌)

 

P.g菌は、歯肉の細胞に悪影響を与える酵素を出すことで、歯周病に関連する色々な病態を引き起こすことが考えられています。進行した重度の歯周病では、歯を支える顎の骨は大きく破壊・吸収され、歯は土台を失い大きくぐらついて、やがて抜けてしまうことになります。

 

アルツハイマー型認知症とは

認知症(以前は痴呆と呼ばれていた)とは、いろいろな原因によって、一部の脳神経細胞が減少し、物忘れや認知機能の低下など日常生活を正常に送れなくなる状態のことを言います。その中でも脳にあるアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なタンパク質が異常に蓄積されることで起こる「アルツハイマー型認知症」は中でも最も患者数が多いといわれています。

※その他の認知症:脳血管性認知症、レヴィー小体型認知症 など

 

認知症は単純な老化ではなく、脳の病的な悪化であり、実際に脳神経細胞の死滅による細胞の減少が認められます。

 

 

主な症状

〇記憶障害:

直前行動を忘れてしまう 覚えていた人や物の名前が思い出せなくなる など

〇見当識障害:

自分のいる場所や状況、年月日、周囲の人間との関係性などがわからなくなる など

〇判断力の低下:

同じ服を何度も着る、身だしなみがだらしなくなる、善悪の区別ができなくなる など

 

「老化による通常の物忘れ」は自覚できることが多い一方で(忘れたことや忘れる頻度が多くなったことに気がつける)、「認知症」は忘れたことすら自覚することができず、判断能力が低下し、またそれらの進行スピードも異常に早く、最終的に基本的な生命活動(食事、排せつなど)を含む日常生活ができなくなってしまいます

 

アルツハイマー型認知症の治療方法は?

アルツハイマー型認知症に関して、病気を治癒させたり、低下した機能を元に戻すことは、現在の医療技術ではできません。抗認知症薬と呼ばれる認知症の進行を遅らせる治療を行うことしかできないのです。

 

アルツハイマー型認知症は予防できないの?

そのうえアルツハイマー型認知症を起こしやすくする要因には、わかっていないことの方が多く、何をどうすればこのような病気になってしまうのかほとんど不明というのが、医療者としての本音になります。そのため、現時点でわかっているリスクは極力排除したいと私たちは考えています。

今回は、アルツハイマー型認知症の解説とその怖さをお話してきました。この治療法の乏しい難聴に対して、歯科医はどのように立ち向かっているのか、次回のコラムでお話ししていきますね。

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