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コラム第19回
歯周病と認知症の関係とは?専門医が最新の知見を解説②

[2021.08.16]

 

今回は、前回に引き続きアルツハイマー型認知症を中心に、歯周病との関連性と、世界で行っている最新の研究に関して、お話ししていきたいと思います。

 

歯周病とアルツハイマー型認知症との関連とは

今は世界中で歯周病菌と認知症の関連を調べる研究がなされています。

 

〇研究1

ある研究では、P.g菌をマウスの口の中に長期に投与すると、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβが脳内に急増することが示されました。

〇研究2

他の研究では、ヒトの歯ぐきを調べると、「正常の歯肉」に比べて「歯周病になっている歯肉」からは、多くのアミロイドβが産生されていることも指摘されています。

〇研究3

歯周病菌であるP.g菌を排除するために作られる免疫細胞であるマクロファージからアミロイドβを産出していることがわかっています。

 

上記の研究からわかった、歯周病が認知症を起こす仕組み

①口腔内で歯周病が進行する
②歯周病菌から体を守るため、歯周病の歯ぐきから免疫細胞(マクロファージ)が出現
③免疫細胞からアミロイドβが多く産生される
④放出されたアミロイドβが血管内に入り全身へ循環し、脳神経細胞に達する
⑤アミロイドβが脳神経細胞に蓄積され、脳神経細胞の変性や壊死が生じる
⑥アルツハイマー型認知症の危険性が高まる

 

上記のように歯周病はアルツハイマー型認知症のリスクとなっている可能性があり、皆さまの健康を大きく害する可能性があるのです。

 

まとめ

近年の全世界での研究で、歯周病と全身のいろいろな疾患との関係性が徐々に明らかになってきています。

もちろん、認知症の原因は、まだ判明していないものを含めれば膨大にあると思われますし、歯周病だけで認知症が発症するわけではないのかもしれません。

しかし、現在も歯周病と認知症に関する多くの研究が進行中ですし、「歯周病の治療が認知症の患者を多く減らす可能性がある」と信じている研究者が多くいることは間違いないと思われます。そのため、認知症のリスクの一つとしての歯周病にならないよう予防または歯周病治療を行うことは重要です

お年をとるにつれて歯周病は増えていくと言われていますから、毎日の口腔ケアや定期的な歯科医院でのメンテナンスを行い歯周組織の健全な状態を保つことを、健友会ではお勧め致します。

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