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コラム第15回
歯ぎしりって悪いもの?歯周病との関連を専門医が解説②

[2021.07.12]

 

今回は、歯ぎしりによって生じてくる兆候や、その原因、治療をお話ししていきたいと思います。

 

お口の中に表れる兆候

 

〇上下の歯の咬む面が擦り減っていて、平らになっている。
〇歯に亀裂が入っている
〇歯の歯茎に近い部分がえぐられている、またはその部分の歯がしみる
〇意識的に歯ぎしりしてみると上の歯が動揺する
〇下あごの内側(ベロ側)に硬い隆起がある(骨隆起)
〇上あごの中央部分に硬い隆起がある(骨隆起)
〇上下の歯がかみ合わさる部位に相当する頬の裏の粘膜に白い筋がある(噛み)
〇ベロの側縁に歯型の圧痕がある
〇顎の関節が痛む、または大きくお口を開けると痛い

 

歯ぎしり・くいしばりの原因

歯ぎしり・くいしばりの明らかな原因はまだ解明されていません。

しかし、様々な研究よりいくつかの原因が考えられています。「ストレス」も歯ぎしりやくいしばりを引き起こす原因として考えられています。すべての歯ぎしり・くいしばりがストレスと関係しているとは限りませんが、睡眠中の歯ぎしり・くいしばりはストレスとの関連性が報告されています

他に「遺伝的な要因」「アルコール」「薬の副作用」など多くの原因が考えられ、またそれぞれが多様に関連して歯ぎしりやくいしばりを引き起こすことが考えられています。

 

 

歯ぎしり・くいしばりが歯周病を悪化させる理由とは

 

コラム第9回 歯周病の原因って?専門医が解説!

 

上記のコラムでもお話ししたとおり、歯周病の原因はプラーク中に含まれる歯周病菌です。よって歯ぎしりやくいしばりが直接歯周病の原因になることはありません。

しかし、歯ぎしりやくいしばりは歯周病の進行を早めてしまいます

 

歯周病を急速に増悪させる重要な因子

→外傷性咬合

外傷性咬合とは歯周組織に外傷性の変化をもたらす咬合です。

歯ぎしりやくいしばりもこの外傷性咬合に含まれ、歯ぎしりやくいしばりによる長時間に及ぶ過度な歯牙への負担は歯だけでなく、歯を支える歯周組織に対しても大きな影響が及びます。

ブラキシズム(歯ぎしり)が歯周炎に併発すると、短期間に歯周病が重度化し歯周組織の重篤な破壊が生じる恐れがあるのです。

 

 

歯ぎしり・くいしばりの治療法

歯ぎしりやくいしばりは歯周病を増悪させるだけではありません。ブラキシズムによって歯周病の悪化だけではなく、歯牙の破折摩耗顎関節症頭痛肩こりなど全身的な問題を引き起こします。

 

治療の基本は歯ぎしり・くいしばりの原因を取り除くことです。局所的な原因として、かみ合わせが悪く強く咬んでいる部位があるようなら、そこが原因で気になり無意識に歯ぎしり・くいしばりを起こしている可能性があるため、かみ合わせの調整(早期に接触するような部位だけ)が必要になります。

また、全身的な原因としてストレスがあるようであれば、そのストレスを回避・除去するか、ストレスに慣れて適応できるようにしていく必要があります。

そして歯科医院では、最初から広範囲の歯を削ったりするような後戻りのできない治療は控え、マウスピースを装着し、無意識に咬合習癖があったとしても歯や歯周組織に過度な負担がかからないようにしています。

 

まとめ

歯ぎしりやくいしばりは歯周炎に併発することにより、早期に歯周病を重度化してしまう恐れがあります。しかし、歯ぎしりやくいしばりは無意識または睡眠中の環境下でしてしまうため、なかなか改善しにくい習癖です。

歯ぎしりやくいしばりの自覚や指摘があるようであれば、歯ぎしりやくいしばりの原因を除去もしくは対症療法を行い、歯周病の急速な進行を防ぐ必要があります。

 

専門医の在籍する歯科医院にて歯周病の定期的な検査や歯ぎしりくいしばりの治療を行うことをおすすめ致します。

 

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